タイの観光ビザ・ノービザ滞在とは?2026年の制度変更でどう変わった?

タイの観光ビザ・ノービザ滞在とは?2026年の制度変更でどう変わった?

①DTV②EDビザ③リタイアメントビザに続くシリーズ最終回は、観光ビザとノービザ滞在です。「観光ビザ」とひとまとめに語られがちですが、実際には「ノービザ(ビザ免除での滞在)」と「正式な観光ビザ(TR)」という2つの制度があり、しかも2026年に大きな変更が予定されています。今回もタイランドプリビレッジ推しではなく、制度をフラットに理解していただくための記事です。

観光ビザ・ノービザ滞在の基本概要

観光ビザ・ノービザ滞在の基本概要

日本を含む対象国籍の場合、ビザなしでタイに入国できる「ノービザ滞在(Visa Exemption)」という制度があります。2024年7月から60日間の滞在が認められていましたが、2026年5月19日にタイ内閣がこれを見直す方針を決定し、30日間に短縮される見込みです。

官報への公示から15日後に施行される予定で、2026年6月末時点ではまだ施行日は確定していません。日本は今回、30日間の対象国に含まれています。

30日間の滞在は、イミグレーションで1回だけ30日間延長できるため、合計で最長60日間になります。また、陸路での入国については年間2回までに制限される方向で議論が進んでいます。

正式な観光ビザ「TR(Tourist Visa)」は、事前に大使館・領事館で申請するタイプで、こちらは60日間の滞在が可能です。国内で1回だけ30日延長できるので、合計90日間まで滞在できます。マルチプルエントリーのTR(METV)というものも存在しますが、日本人の間ではあまり一般的ではなく、実際に取得した人に出会うことも少ないので、ここでは名前だけ触れておきます。

観光ビザ・ノービザ滞在のメリット

  • 短期の旅行や視察であれば、ノービザなら事前申請なしで手軽に入国できる
  • 観光ビザを取得すれば、ノービザよりも長く(最長90日)滞在できる
  • 移住前の「試住」や、他のビザに切り替える前の準備期間として使いやすい

観光ビザ・ノービザ滞在の問題点・注意しておきたいポイント

観光ビザ・ノービザ滞在の問題点・注意しておきたいポイント

2026年の制度変更で滞在可能期間が短縮

これまでノービザで60日+延長30日=最長90日滞在できていましたが、新制度では30日+延長30日=最長60日に短縮される見込みです。長期滞在を前提にノービザ入国を繰り返していた人にとっては、これまでよりも頻繁な出入国が必要になります。

ビザランの繰り返しへの取り締まり強化

ノービザ入国を繰り返して実質的に長期居住する、いわゆる「ビザラン」的な使い方は、タイ当局が長年問題視してきた対象そのものです。

僕がタイに移住した15年前は、ビザランでの長期滞在は当たり前に行われていました。現地採用で働く日本人の中にも、勤め先からノンイミグラントBを出してもらえず、ノービザや観光ビザでのビザランを会社側から指示されている人が少なくなかったのを覚えています。

それが10年ほど前からビザラン規制が強化されはじめ、近年では東南アジア全体で社会問題化している特殊詐欺との関連もあり、タイへの入国審査自体がさらに厳しくなっているというのが実感です。

2025年には、正当な理由なく連続してビザランをした人物の入国を拒否できる、という運用も発表されており、繰り返しの入国パターンは審査対象になりやすくなっています。

陸路入国の年間回数制限

ノービザでの陸路入国は年間2回までに制限される方向で議論されており、頻繁に近隣国へ出国して入国し直す、というスタイルは今後さらに難しくなっていきそうです。

就労は一切不可

観光ビザ・ノービザ滞在では、いかなる形の就労も認められません。

長期滞在の土台としては不安定

銀行口座の開設、住居契約、車の購入といった、生活の基盤を作る場面では「長期滞在資格」を求められることが多く、観光ビザ・ノービザ滞在ではこうした場面に対応できないケースが目立ちます。

どんな人に観光ビザ・ノービザ滞在が向いているか

どんな人に観光ビザ・ノービザ滞在が向いているか
  • 数週間程度の旅行・視察目的で訪れる人
  • 移住前の下見や、他のビザへの切り替え前の準備期間として短期的に利用する人
  • 頻繁な出入国や書類準備を前提とせず、あくまで短期滞在に限定して使う人

タイランドプリビレッジとの比較

タイランドプリビレッジとの比較

観光ビザ・ノービザ滞在は、コストをかけずに手軽に使える制度ですが、2026年の変更のように滞在ルールそのものが政策判断で変わりやすいという不安定さを抱えています。タイランドプリビレッジは会員期間中のルールが安定しており、こうした急な制度変更の影響を受けにくいという安心感があります。

ここでも結論は同じで、資金要件や滞在カテゴリーを気にせず、まとまった滞在資格を確保したい人にはタイランドプリビレッジが向いていて、短期の利用に限るなら観光ビザ・ノービザ滞在で十分、という目的に応じた選び方になります。

シリーズを通じて見えてきたこと

シリーズを通じて見えてきたこと

①DTV、②EDビザ、③リタイアメントビザ、④観光ビザと4回にわたって取り上げてきましたが、見えてきたのは「完璧なビザは存在しない」という結論です。DTVには銀行口座や最大360日以上の連続した滞在は不可などの問題があり、EDビザには出席義務や学校選びのリスクがあり、リタイアメントビザには毎年の更新負担や医療保険加入の義務があり、観光ビザ・ノービザ滞在には制度自体の不安定さがあります。

それぞれのビザには、それぞれの事情に応じた向き・不向きがあります。タイでの暮らし方や資金計画、そして「毎年何かをしなければならない」という負担をどこまで受け入れられるかによって、選ぶべきビザは変わってきます。このシリーズが、その判断の材料になれば幸いです。

筆者紹介

明石直哉

2011年からバンコク在住。2015年に起業し、現在は会社経営と写真家という二足のわらじで活動中です。 このブログではタイ移住を検討している方に向けて、在住10年の経験を活かした情報を発信していきます。
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