EDビザとは?バンコク在住者が解説する制度の実態と注意点

EDビザとは?バンコク在住者が解説する制度の実態と注意点
EDビザとは?バンコク在住者が解説する制度の実態と注意点

前回の記事では、DTVについて取り上げました。今回はそのDTVと並んでよく話題になる「ED ビザ」、正式にはノンイミグラントED(Education)ビザについて解説します。

タイ語を本気で学びたい人と、とにかくタイに長期滞在したい人。この2つの動機が入り混じって語られがちなのがEDビザです。DTVの記事と同じく、タイランドプリビレッジを推すための記事ではなく、EDビザという制度を正しく理解していただくための記事として書いています。

EDビザの基本概要

EDビザの基本概要

EDビザは、タイ語学校や大学、ムエタイジム、料理学校、伝統医療・ウェルネス機関などで学ぶ外国人に発行されるビザです。いずれもタイ教育省(MOE)に認定された機関である必要があります。

入国時にまず90日間の在留が許可され、その後は学校のコース内容に応じて概ね90日ごとに延長していく形になります。延長費用は1回1,900バーツ(約9,500円)程度。1つのビザで在留できるのは最長12ヵ月までで、学校のコースがそれを超える場合は、一度出国して新たにEDビザを取得し直す必要があります。

必要書類は入学許可証、MOEの認定証、生活費を示す資金証明など。DTVのような50万バーツの残高証明は求められないため、資金面のハードルはDTVよりかなり低めです。

EDビザのメリット

  • DTVのような高額な資金要件がなく、取得コストを抑えられる
  • 年齢制限がなく、リタイア層がタイ語学習を目的に取得するケースも多い
  • 2025年にDTVのソフトパワー枠から語学学校が除外されたため、タイ語学習を主目的に長期滞在したい場合、現時点では実質EDがほぼ唯一の選択肢になっている

EDビザの問題点・注意しておきたいポイント

EDビザの問題点・注意しておきたいポイント

ここからがこの記事の核になる部分です。制度の説明だけでなく、実際に運用されてきた歴史も含めて見ていきます。

出席義務の厳格化

2025年の制度改正で、学校側が生徒の出席状況を毎月イミグレーションに報告する義務が課されました。出席率が一定割合(目安として70〜80%程度、学校によって基準は異なります)を下回ると、学校からの報告をきっかけにビザが取り消されるケースがあります。

グレーゾーン利用への取り締まり

実際には授業にほとんど出ずに、在留資格を得ることだけを目的にEDビザを維持しようとする人が一定数いました。過去には「出席不要」を売りにするビザ業者やムエタイジムも存在しましたが、これは違法な運用であり、タイ当局は近年こうした利用実態への取り締まりを強めています。

正直に言うと、この変化は僕自身が15年前にバンコクへ移住した頃から肌で感じてきたことでもあります。当時は、EDビザ取得そのものを売りにした語学学校がたくさんありました。実際に授業を受けなくても、お金だけ払えばビザが取れる、というのが半ば公然とした状況だったんです。ところがコロナ禍前後からイミグレーションの審査が明らかに厳しくなり、今ではそういう「名ばかり語学学校」はほとんど姿を消しました。当時を知っている人間からすると、この10年余りでの変化はかなり大きいと感じます。

審査が厳しくなった影響は、延長申請の窓口でも表れています。イミグレーションで延長手続きをする際、担当官から簡単なタイ語で質問されることが少なくありません。自己紹介や出身地、好きな食べ物といった程度の内容ですが、まともに答えられないと延長が認められなかった、という事例も聞きます。書類上の出席率だけでなく、対面でも「本当に勉強しているか」を見られていると考えておいた方がよさそうです。

就労は一切不可

EDビザ自体には就労資格がありません。タイ国内で収益活動を行うことはできません。就労したい場合は、ノンイミグラントB+ワークパーミットという全く別の制度が必要です。

学校選びのリスク

MOEの認定が取り消された学校や、実態のない学校に登録してしまうと、ビザそのものが無効になるリスクがあります。上で触れた通り、こうした学校自体が近年かなり減ってきているとはいえ、選ぶ際には認定状況を確認しておくべきでしょう。

再入国許可の管理

出国する際に再入国許可(リエントリーパーミット)を取得していないと、EDビザが失効してしまいます。DTVよりも管理すべき手続きが細かく、うっかり忘れると大きな痛手になります。

90日ごとの住所報告義務

タイ国内に住み続ける限り、90日ごとに住所を届け出る義務(90日レポート)も発生します。これはEDビザに限らず前回解説したDTVなど、ほかのビザも同様です。

どんな人にED ビザが向いているか

どんな人にED ビザが向いているか
  • 本気でタイ語(あるいは英語、料理、ムエタイなど)を学びたい、明確な学習目的がある人
  • DTVのような高額な資金要件を避けたい、あるいはクリアできない人
  • 90日レポート・再入国許可といった細かい事務手続きを負担と感じない人

タイランドプリビレッジとの比較

タイランドプリビレッジとの比較

ED ビザは、学習目的が明確な人にとってはコストを抑えられる優れた制度です。ただ、「学ぶこと」そのものが在留資格の条件になっているため、出席率や延長時のタイ語チェックなど、生活の自由度という点ではどうしても制約が出てきます。

タイランドプリビレッジは、こうした学習目的の縛りや出席報告、再入国許可の管理といった細かい事務負担がなく、資金要件や滞在カテゴリーを気にせず5年以上のまとまった滞在資格を確保したい人に向いている制度だと言えます。空港のファストトラックやゴルフ場の優待といったVIP待遇そのものに価値を感じる人にとっても、選びやすい選択肢でしょう。

どちらが優れているというより、「タイ語を本気で学びたいのか」「条件を気にせず自由に長期滞在したいのか」という目的の違いで選ぶべきビザだというのが、実際に周りのケースを見てきた僕の感想です。

まとめ

EDビザは、目的が明確であれば非常に有効な制度です。一方で、「ビザのためだけに取得する」という使い方は、かつては可能でしたが、今ではリスクの方が大きくなっています。審査の厳格化は今後も続く可能性があるため、申請前には必ず最新情報を確認するようにしてください。

次回は③リタイアメントビザについて、同じ視点で取り上げていきます。

筆者紹介

明石直哉

2011年からバンコク在住。2015年に起業し、現在は会社経営と写真家という二足のわらじで活動中です。 このブログではタイ移住を検討している方に向けて、在住10年の経験を活かした情報を発信していきます。
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