タイの治安は東南アジアの中でどのくらい?各国と比べてわかること

「タイって東南アジアの中で治安はどのくらいなんですか?」
これもよく聞かれる質問です。
答えは「中の上」といったところですが、数字だけで語ると実態とズレることもあるので、今回は複数の指標と、実際に東南アジア各国を複数回訪れてきた肌感覚を合わせて整理してみます。タイが一番安全という結論ありきではなく、フラットな目線で比べてみます。
数字で見る東南アジアの治安ランキング
Numbeo Crime & Safety Index 2025
Numbeoとは、世界中のユーザーが実際に生活・旅行した体験をもとに物価や治安などを評価するデータベースです。セルビアを拠点とする非営利組織が運営しており、各国・各都市の「犯罪指数(Crime Index)」と「安全指数(Safety Index)」を0〜100のスコアで公表しています。
犯罪指数が高いほど危険、安全指数が高いほど安全という構造です。実際の犯罪統計ではなく「体感・認知」ベースなので絶対的な数字ではありませんが、大まかな傾向をつかむのに広く使われています。
2025年のデータで東南アジア主要国を比較するとこうなります(出典:Numbeo Crime & Safety Index 2025)。
この指標では、タイはシンガポール・ブルネイに次いで3位。ブルネイはほぼ旅行者が訪れない小国なので、実質的に「旅行・移住先として選ばれる国の中ではシンガポールに次いで安全」という位置づけになります。
世界平和指数(GPI)2025との比較
世界平和指数(Global Peace Index)は、オーストラリアのシンクタンク・経済平和研究所(IEP)が毎年発表する指標で、犯罪件数だけでなく軍事化の度合い・政治の安定性・社会紛争・テロリスクなども含む包括的な評価です。163カ国・地域を対象に毎年更新されており、国際的にも信頼性の高い指標として認知されています。
2025年の東南アジア各国の順位はこうなります(出典:経済平和研究所 Global Peace Index 2025)。
タイのGPI順位は86位と、Numbeoの安全指数と比べてかなり低くなっています。これはバンコクやチェンマイの日常の安全水準ではなく、マレーシア国境付近のタイ深南部で続く分離独立運動・爆発事件、そして政治的な不安定さが反映されているためです。旅行者・在住者の目線でいえば、Numbeoのデータの方が実態に近いと感じます。
国別に比べてみる——肌感覚もあわせて
シンガポール 東南アジアの別格
安全指数77.4で、東南アジアはもちろん世界トップレベルの安全な都市国家です。チューインガムの販売禁止・ポイ捨てへの高額罰金・薬物所持への死刑など、非常に厳格な法律が犯罪抑止力として機能しています。深夜に一人で歩いても怖くない、財布を置き忘れてもほぼ戻ってくる、という体感があります。
ただし移住コストが高く、何事にも規制が多く窮屈に感じる面があるのも事実。「安全だけど息が詰まる」という声も在住者から聞きます。
マレーシア 数字より体感リスクが高い
GPIで13位という高評価ですが、実際に複数回訪れた感覚としてはこの数字ほど安全ではないという印象があります。クアラルンプールでのひったくり・タクシートラブルが多く報告されており、僕が知っている在住者からも「刃物を持った4人組に車の窓を割られてバッグを奪われた」という体験談を聞いたことがあります。タクシー運転手がメーターを使わず脅すように怒鳴るというトラブルも頻発しています。
ベトナム 暴力は少ないが交通と軽犯罪は別問題
Numbeoの安全指数は59.2でタイより低いですが、凶悪犯罪・外国人への暴力は少なく旅行しやすい国という印象はあります。問題は2つ。ハノイ・ホーチミン市でのバイクによるひったくりが多いこと、そして交通です。
バイクが溢れる市街地の横断は、慣れないと本当に怖い。東南アジアの中でも交通事故率が高い国のひとつです。ただ、ここ1〜2年で都市部を中心に信号が整備されています。バイクが溢れる道路を渡る光景も、あと数年もすればなくなるかもしれません。
インドネシア 観光地と全体のギャップが大きい
インドネシア最大の観光地であるバリ島は観光インフラが整備されており旅行者にとっては比較的安全な場所です。ジャカルタはひったくり・置き引きが目立ち、複数回訪問した感覚としてはバンコクより一段治安が悪いという印象があります。
また東南アジアの中でインドネシアが別格なのは自然災害のリスクです。環太平洋火山帯(リング・オブ・ファイア)に位置し、地震・噴火・津波が頻繁に発生します。2004年のスマトラ島沖地震・津波ではバンダアチェだけで人口の4分の1にあたる6万人が亡くなりました。犯罪だけが「治安リスク」ではないという意味で、インドネシアは別次元のリスクも抱えています。
フィリピン 拳銃強盗が日常的に起きる国
東南アジアで最も治安の悪さを肌で感じたのはマニラです。これはNumbeoの数字(安全指数56.9)にも表れていますが、数字以上に体感リスクが高いと感じました。
2024年後半から2025年にかけて、マカティやBGCなど「日本人が多い安全なエリア」でも拳銃や刃物を使った強盗事件が急増しており、日本人被害は16件以上に上っています(出典:在フィリピン日本国大使館 2025年5月スポット情報)。
2025年5月にはマカティ市内の日本食レストランに強盗が押し入り、日本人客が被害に遭う事件も起きました。睡眠薬強盗・美人局・タクシー強盗も頻繁に報告されています。
セブ島・ボラカイなどリゾート地は比較的安全ですが、ミンダナオ島西部ではイスラム系武装組織によるテロ・誘拐が続き、外務省は「レベル3:渡航中止勧告」を出しています。日本人への被害の深刻さという観点では、東南アジアの中でもトップクラスのリスクがあると認識しておくべき国です。
カンボジア・ミャンマー 特殊詐欺の震源地
東南アジアで犯罪指数が最も高い2カ国です(カンボジア51.3・ミャンマー50.9)。カンボジアを複数回訪れた感覚としては、首都プノンペンの治安の悪さはマニラ、ジャカルタ、ヤンゴンに次ぐ水準で、スリやひったくりを警戒すれば、観光や日常生活は問題ないレベルと感じます。
ミャンマーは2021年のクーデター前に訪問しましたが、当時から危険なエリアがあり、現在は事実上の内戦状態で外務省はほぼ全土に「レベル3:渡航中止勧告」を出しています。
これらの2カ国について2025〜2026年に特に深刻な問題として浮上しているのが、日本をターゲットにした特殊詐欺の拠点化です。2025年だけでカンボジアで日本人50人以上が詐欺拠点で拘束されました(5月29人・11月13人・12月16人)。
ミャンマーのミャワディ国境地帯では「KKパーク」などの詐欺拠点に監禁されて詐欺を強要された日本人高校生の救出・逮捕事案が相次ぎ、日本社会に衝撃を与えました(出典:FNNプライムオンライン 2025年12月)。
これらの国は「旅行先として安全かどうか」という問題以前に、SNSで「高収入の仕事がある」と誘われて渡航するだけで取り返しのつかない状況に陥るリスクがあります。
日本人として東南アジアを旅行・移住するときの「治安感覚のズレ」
日本は世界平和指数でも上位に入る、世界トップクラスの安全な国です。深夜に財布を置いたまま席を立てる、傘を外に出しておいても盗まれない、落とした財布が戻ってくる。
こういった「当たり前」は、世界では当たり前ではありません。
この「日本基準」の感覚をそのまま東南アジアに持ち込むと判断がずれます。
「ちょっとくらい大丈夫」は通用しない国が多い。夜道の一人歩き、荷物の置き忘れ、見知らぬ人への無警戒など、日本では問題ないことが、東南アジアでは直接的なリスクにつながります。
「日本人が多い街なら安全」は幻想です。プロンポンが日本人街でもスリや強盗が起きるように、日本人が多いことと安全なことは別の話。フィリピンのマカティもかつては「日本人駐在員の安全地帯」と呼ばれていましたが、2024〜2025年に相次いだ拳銃強盗でその神話は崩れました。
東南アジアの治安、まとめると
Numbeoのデータではタイはシンガポール・ブルネイに次ぐASEAN3位ですが、旅行・移住先として実際に選ばれることの多い国に絞ると「シンガポールに次ぐ安全な選択肢のひとつ」という位置づけになります。ただしベトナムとはほぼ同等の安全水準で、フィリピン・カンボジア・ミャンマーとの差が特に大きいというのが実態です。
東南アジアで旅行先・移住先を考えるなら、国単位の「安全か危険か」ではなく、「どのエリアで」「何時に」「どう行動するか」で安全度はまったく変わります。シンガポールは別格として、どの国に行っても油断は禁物です。
筆者紹介
明石直哉
2011年からバンコク在住。2015年に起業し、現在は会社経営と写真家という二足のわらじで活動中です。 このブログではタイ移住を検討している方に向けて、在住10年の経験を活かした情報を発信していきます。
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