【2026年版】タイのキャッシュレス決済事情 PromptPay・TrueMoney Wallet

コロナ禍を経てタイはキャッシュレス化が一気に進み、日本より便利だと感じる場面も多くなりました。
屋台のおばちゃんも、路上でお供え物を売っているおじいさんも、タクシーやバイタクの運転手も、みんな自分のスマホ画面にQRコードを表示して支払いを受けます。都心のコーヒーショップでは現金を断られることまで出てきました。
「QRコード決済ができない店を探す方が難しい」というのが、2026年の現状です。
ところが「外国人旅行者がこれに参加できるか」というと、話がまったく別になります。タイ在住者にとっては当然のように使えているQR決済も、旅行者にとっては高い壁があります。今回はその壁と、越えるための選択肢を整理します。
タイのキャッシュレス事情
2016年、タイ中央銀行(Bank of Thailand)がPromptPayを導入したことで、タイのキャッシュレス化は一気に加速しました。タイのキャッシュレス決済普及率は2021年時点で60%以上。同時期の日本(36%)を大幅に上回っており、中国がAlipayとWeChatPayで変わったのと同じような変化が、タイではPromptPayを軸に起きました。
スタバや有名ファストフードは現金不可の店舗も増えています。地方都市や屋台レベルでも普及しているのがタイの特徴で、都市部だけでなく全国規模でQRコードが浸透しています。
外国人が直面する「大きな壁」
問題はここからです。タイのQR決済はほぼすべて「タイの銀行口座」を持っていることが前提になっています。そしてタイで外国人が銀行口座を開設するには、原則として1年以上の長期ビザ(就労ビザ・リタイアメントビザ、タイランドプリビレッジビザ等)が必要です。観光ビザやビザ免除での入国では、基本的に口座開設の門前払いをされます。
クレジットカード(Visa・Mastercard)はモールや比較的大きなレストランでは使えますが、屋台・ローカル食堂・個人商店ではほぼ不可。「このマンゴー美味しそう」と屋台に近づいても、QRか現金しか受け付けてくれません。
これが、タイ在住者と旅行者の間にある最大の格差です。
① PromptPay(プロンプトペイ)
PromptPayとは、タイ中央銀行が2016年に導入した国家規格のリアルタイム決済システムです。どの銀行のアプリからでも、電話番号またはQRコードで瞬時に送金・支払いができる仕組みで、タイ人口を上回る7,000万件以上の口座に紐付けられているとも言われます(複数口座を持つ人がいるため)。
電気代・家賃・マッサージ・食料品・タクシー・医療費など、日常のほぼあらゆる場面でPromptPayで払えます。タクシーやバイタクの運転手も自分のスマホ画面にQRを表示して受け取るので、小銭を準備する必要もありません。僕も現金を持ち歩かない日々になって久しいです。
外国人・在住者の使い方
タイの銀行口座を持つ長期在住者なら、銀行のモバイルアプリからQRコードをスキャンするだけで利用できます。アプリを開いてスキャンボタンを押し、店舗のQRを読み取って金額を確認して承認、これだけです。振込も電話番号を入力するだけで完結するので、口座番号のやり取りが不要なのも便利です。
旅行者が直接使うのは難しいですが、例外があります。ASEAN QR連携を通じて、カンボジア・マレーシア・インドネシア・ベトナム・シンガポールの銀行アプリや、中国のWeChat Pay・Alipayなどからも、タイのPromptPay加盟店で決済できます。東南アジア・中国からの旅行者はほぼ手続き不要でそのまま使えますが、日本人にはこの恩恵が届いていないのが現状です。
② TrueMoney Wallet
TrueMoneyとはタイの大手通信・小売グループCP財閥傘下のTrueが運営するeウォレットです。国内シェアは53%と圧倒的で、アクティブユーザーは3,000万人以上。保険・ゴールド投資・BNPLなどもアプリ内で完結する、タイ版の総合金融プラットフォームに成長しています。
外国人・旅行者の登録状況
TrueMoneyは2024年中頃から外国人向けに機能を段階的に開放しました。
登録ではアカウントのレベルがあり、パスポートだけで登録できるBasic Accountは残高上限3万バーツ、セブンイレブンでの現金チャージが上限3,000バーツ/回という制限があります。セブンイレブンやフードコート、デパートの飲食店などでTrueMoneyアプリから決済が可能です。
さらにタイの在留証明(タイ運転免許・長期滞在ビザ(DTV含む)・ワークパーミット等)を追加提出して審査が通るとAdvanced Accountに昇格し、PromptPayのQRコードをTrueMoney Walletアプリ内でスキャンして決済できるようになります。
つまり、これまで銀行アプリからしかできなかったQRコード払いが、TrueMoneyアプリからも同じようにできるということです。ただしAdvanced Accountの個人QR(屋台など)へのスキャンは月30回まで無料で、超過すると1回25バーツの手数料がかかります。
ただし現実は厳しいです。外国人の登録審査が通らないケースが多発しており、App StoreやGoogle Playのレビューでも「外国人には使えない」という低評価が目立ちます。「書類を提出しても承認されない」「ビザなしの旅行者には実質無理」という声は在住者向けの掲示板で多数見られます。
TrueMoneyを使う価値がある場面
正直なところ、短期旅行者には現時点でおすすめしにくいアプリです。
ただしデパートのフードコートや、日常的に使うショッピングモール内のレストランで使えることがあります。特にセブンイレブンでの支払いに使えるのが在住者にとって便利な点です。
PromptPayはセブンイレブンでは使えないため、銀行口座を持ってはいるけれどセブンでキャッシュレス払いをしたい人にとってはTrueMoneyが補完的に機能します。
銀行口座を持っていない・作れない状況で、ショッピングモールやセブンイレブンを日常的に利用する人であれば、設定の苦労を乗り越えて使う価値はあるでしょう。
③ 旅行者向け TAGTHAi Easy Pay + KBank PAY&TOUR
TAGTHAiとは、タイ政府観光庁(TAT)とカシコン銀行(KBank)が2025年3月に共同でリリースした、外国人観光客専用のeウォレットです。
仕組みは次の通りです。スワンナプーム・ドンムアン空港、またはバンコク市内のカシコン銀行両替ブースでPAY&TOURプリペイドカードを発行→TAGTHAiアプリに紐付け→PromptPay QRをスキャンして決済、という流れです。
パスポートを提示して外貨を両替し、両替したバーツをそのままカードにチャージします。VISAカードとしてもタッチ決済・カード払いで使えます。KBank ATMからの現金引き出しも可能(1回最大10,000バーツ)。使わなかった残高は両替ブースで返金・解約できます(15日以内)。
実際に使った旅行者からは「コンビニ・屋台・レストラン・マッサージ店など全店で問題なく使えた」「現金払い不可の店でも使えて助かった」という声があります。
正直なデメリット
ただし僕はこのサービスを手放しではおすすめしません。
最大の問題はカシコン銀行の両替レートが良くないことです。キャッシュレス決済の利便性は確かにありますが、その利便性と引き換えに為替レートで損をする可能性が高い。バンコク市内のスーパーリッチなど好レート両替所と比べると、TAGTHAiのためにカシコン銀行で両替することのコストは無視できません。
また、クレジットカードからのオートチャージができないため、残高が尽きるたびに両替ブースに戻る手間があります。
現実的な判断としては、「タイに頻繁に来るリピーター」や「現金を極力持ち歩きたくない人」でなければ、現金+クレジットカードの組み合わせで十分対応できます。
まとめ
タイのキャッシュレス化の速度は本当に早く、外国人向けの環境も少しずつ改善されています。でも2026年現在でも、日本から来た旅行者が「タイ人と同じようにQR決済できる」状況には、まだ少し距離があります。それをわかった上でタイに来ると、余計なストレスを減らせます。
筆者紹介
明石直哉
2011年からバンコク在住。2015年に起業し、現在は会社経営と写真家という二足のわらじで活動中です。 このブログではタイ移住を検討している方に向けて、在住10年の経験を活かした情報を発信していきます。
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